2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧

昔書いていた詩(44) 「朝」 「光」

朝 俺は前を向いている 後ろに朝の 香りが近い 赤土の丘 裸体の樹木 あのあたりで 夜が まだ 浮遊しているのだろうか 鳥も啼かない 中洲にある浮島で 俺はお経を 誦えている そうだ 何も見えないが 確かに 夜明けは 近い 闇の 連帯が終わり その中で 色の広…

今書いている詩(44) 「本当のこと…(10) 」

本当のこと…(10) 本当のことを言うとね 私もあなたも気づいていたんですよ どうして此処に一緒にいるかがね 人生の目標を失ったあなた お金を稼げなくなったあなた 恋人を失ったあなた 行く当てのないあなた ひとりぼっちのあなた 私が此処にいますよ いつ…

昔書いていた詩(45) 「言葉」 「泳ぐ」

言葉 俺が 辺り構わず 灰色の 言葉を撒き散らすのは 北の斜面で 凍結し 動かぬ 風のように 冷酷な 血液の高まりを 拒否する為だけであろうか ああ 今日も俺は ただ虚しくなる為に 仕事に出かけてゆく 其処では お前の言葉も 俺の言葉も 鮮明ではない 俺は自…

今書いている詩(45) 「山入川」

山入川 枯れていた川に水が 溢れて流れている 枯れても伏流水となって 私の心の中を流れてゆく 濁水となっても 暫く時が経てば 清流となって流れる 自然はその繰り返しの日々 人生もまた同じ繰り返し 時として大きく小さな振幅で 橋の上から眺めているのは …

昔書いていた詩(43) 「実験室 」 「ネオン」

実験室 俺は頭の中で さかんに光の量子のことを 考えながら 振り子の周期率を 数える 眼の奥で 平均値が充満している ああ 隣の机では 固有抵抗の測定と 発熱量の実験中 時々 教授のマイクが 机の上を歩く 「俺には理解できない」と 何度も呟きながら 振り子…

今書いている詩(43) 「本当のこと…(9)」

本当のこと…(9) 本当のことを言うとね 私もあなたももう何も要りません なんてとても困りましたね お金も 名誉も お酒も 異性も いらないなんて本当に困りますよ 私もあなたも危険思想の レッテルを貼られますよ 物欲と性欲が今の日本の 社会と経済を動かし…

昔書いていた詩(42) 「宇宙船」 「駅」

宇宙船 私は希望を失って 大気圏を外れ 地上に落下してゆく ビルが石柱のように立っているのが見える 私に不可思議な力が働く 枯葉より早く落ちる速度だ ニュ―トンが林檎で 万有引力の法則を知った日のように 空はどんよりと暗く 寒い 血漿が凝縮してしまう …

今書いている詩(42) 「本当のこと…(8)」

本当のこと…(8) 本当のことを言うとね 私もあなたもお金持ちになることを 望んではいけないのですか 想うだけでもいけませんか お金は正直欲しいです でもね 悪魔に心を売り渡すのなら お天道様の下を歩けないのなら 強欲な心を持つより ささやかな今の暮ら…

昔書いていた詩(41) 「宇宙船」 「駅」

宇宙船 私は希望を失って 大気圏を外れ 地上に落下してゆく ビルが石柱のように立っているのが見える 私に不可思議な力が働く 枯葉より早く落ちる速度だ ニュ―トンが林檎で 万有引力の法則を知った日のように 空はどんよりと暗く 寒い 血漿が凝縮してしまう …

今書いている詩(41) 「本当のこと…(7) 」

本当のこと…(7) 本当のことを言うとね 夢を捨ててしまいたい私 夢を捨てられないあなた 夢を振り払うように駆けだす私 夢に縋りつきたいあなた もう一度 信じ合いませんか 愛し合いませんか すれ違ってから 千年経っても変わりませんか 後悔の海岸は深く長…

昔書いていた詩(40) 「瞬き」 「年輪」 「秋に」

瞬き 星の尾の長く揺れて 一滴のしたたり落ちて その瞬く星の光 しずくの一滴 天の黄道を見ないで 地上に消えた人の 涙の白く震える夜 どの村にも どの街にも ある 木々の煩雑さ 水銀灯のポールの 金属の言葉 ああ、魚のいない川の流れと 虫の鳴かない秋だ …

今書いている詩(40) 「本当のこと…(6)」

本当のこと…(6) 本当のことを言うとね 私一人ではあなた一人では 及ばないからお力をお借りしますよ 兄弟ですからね 友達ですからね 家族ですからね 恋人ですからね 頼り 頼られるのが人生の 素晴らしい方法ですね 知恵ですね みんなあなたのお力を待ってい…

昔書いていた詩(39) 「求道」 「写真」 「ベル」

求道 限りなく 道を求めて 今日を旅ゆく 人よ 貴方の 喜びと悲しみの 裏では 神々の 田舎芝居の 幕が開き 出演者に許しの 機会が与えられるから 現世の僕の仕事は カーテン引き 或日の午後 男は上を向き 女は下向きに 歩くから 僕は天空に 銅貨を投げ 占って…

今書いている詩(39) 「本当のこと…(5)」

本当のこと…(5) 本当のことを言うとね 誰が私とあなたを この世で何をするために この地上に生まれさせたのか 私にもあなたにもわからなかったことを 教えてあげる 今の私ならあなたなら判る気がします 愛し合うためですよ 憎しみ殺し合うためではありませ…

昔書いていた詩(38) 「冬景色」 「けもの」 「フエルト人の神話」

冬景色 木立を震わせて 風が吹き抜けるが 枝にはそよぐ一枚の葉もない 林には明るい日差しが注ぐが 木々は眠っている 目前に展開する 静かな眺め 灰色の風景よ 天上の何処かに 地上の何処かに 明るい光と水があれば それで生き物は十分です 人間だけがモグラ…

今書いている詩(38) 「本当のこと…(4) 」

本当のこと…(4) 本当のことを言うとね 失われてしまった 私とあなたの心は 何処へゆくのでしょうか 暗くて深い夜を走り続ける 特別編成の心の夜行列車の 寝台で私とあなたが ふと目覚める 起き上がる 何もすることなんかありませんよ ただ黙って流れゆく闇…

昔書いていた詩(37) 「残照」 「空蝉」

残照 明日の糧を求めて 自分を切り売りする 生活よ「さようなら」 山では時間が勝鬨をあげて 乾杯するから 麓に降りてゆく 風よ 満たされぬこの思いを 仲間にも伝えておくれ 此処では 過去も 未来も 凝縮した岩の中だから ああ、夕陽が沈めば もうしぐ眠りに…

今書いている詩(37) 「本当のこと…(3)」

本当のこと…(3) 本当のことを言うとね 誰かが私を守っている 誰かがあなたを守っている この星に何のために 生まれたのかを 悩む私とあなたを守っている 私とあなたを守っているのが 誰かを証明することではなく 受け入れることですよ だから私とあなたは …

昔書いていた詩(36) 「別離」 「河口(1)」 「河口(2)」

別離 孫に拒絶されて 立ち眩む 老婆の 脳裏に 洪水となって 過去の 楽しい日々が カラー写真の ネガ画像となって 映るとき 道路の中央で かって若い肢体を 倒立させていた老婆は 今、大地に横たわる 大地を打って 号泣する 孫よ 穏やかな 死に顔が 別れの発…

今書いている詩(36) 「本当のこと…(2) 」

本当のこと…(2) 本当のことを言うとね 誰かが私を愛してる 誰かがあなたを愛してる 何処にいても どんな時にも どんな困難を抱えていても たとえ私とあなたが深い湖の底に 沈んでいても 悲しみの朝に目覚めても 誰かが私とあなたを愛し続けている だから泣…

昔書いていた詩(35) 「梟(saeさんに)」 「先祖」 「炎上」

梟(saeさんに) 家のすぐ裏山で フクロウが ホッ ホー ホロツクホ― と啼く フクロウは誰を 待っているんだろうか それとも 寂しいんだろうか 啼き声を 言葉に変換すると 「私は 此処にいるよ 私は 見ているよ」と言っている 僕は呟く 「君に 癒やされている…

今書いている詩(35) 「本当のこと… 」

本当のこと… 本当のことを言うとね 誰かが私を助けてる 誰かがあなたを助けてる 私の知らないところで あなたの知らないところで 夜もなく 昼もなくね だから私もあなたも 信じ合いましょうね 語り合いましょうね 愛し合いましょうね 兄弟ですよ 友達ですよ …

昔書いていた詩(34) 「予兆」 「勘違い」 「都会」

予兆 キャツチボールで外れた ボールが 墓地の石塔にぶつかる 日焼けした塔婆にもあたる ボールは 無心に飛び 打者は有心 子供たちは自転車で ウロチョロしている キャチボールは会社の駐車場でやっているが 内墓の跡に事務所を増築し その上にトイレを造っ…

今書いている詩(34) 「たろうさんのロト6・ミニロト」

たろうさんのロト6・ミニロト 「さあ 今日も当てるぞ」と気合を入れて たろうさんはロト6・ミニロトを買いにゆきます このところ1000円も当たらない 空振りばかりのたろうさんです 「大空の遥か上を飛ぶ飛行機に 空気銃を放っているようなものだろうか…

昔書いていた詩(33) 「窓」 「さよなら」 「魚の日」 「月夜峰」

窓 開いている 窓の向こうに 闇が続いている 僕らの 宴会は 華やかに 進んでいるのに 僕は 目をつぶって 酒をし流し込む ひとりひとりの 飢えと渇きが 麻痺するまで 昨日までの 僕が今までの僕で 明日の僕が 解らなく迄 飲むんだ 宴会場を 片づける女が 窓を…

今書いている詩(33) 「ぷんぷんぷんのたろうさん 」

ぷんぷんぷんのたろうさん たろうさんはお医者さんに行きました 待合室で待っていると 「…誰々さん」と名前が呼ばれます 誰も答えません しばらくすると何も言わずに 誰かがカウンターに行きます 呼ばれた人なのでしょうね 診察室で先生が名前を呼んでも 誰…

昔書いていた詩(32) 「肋間神経痛」 「嘆き」 「海のオイルフェンス」 「昇給通知」 「埋葬」

肋間神経痛 会社に出かける時刻になると 俺の左胸が痛む 取締役が外れて 唯の営業課長だ 給料も安くなっちまった それで、 経営者と社員の サンドイッチだ ワンマン経営者の口癖は 「好況よ、今日は、不況よ、さようなら」 だから、鼻血も出ない 倒産前の噂…

今書いている詩(32) 「気になります」

気になります あなたに家の壁に掛けられた 写真額少し傾いてませんか 少しの傾きが気になります あなたの机の上の写真立て今も 伏せられたままですか 伏せられた理由が気になります 思い出は通り過ぎカラー写真が 色褪せていますよ あなたの情熱も色褪せたの…

昔書いていた詩(31) 「櫂」 「カメラマン」 「衝動」 「天日和」

櫂 後悔ばかりの舟を漕ぐ 僕も貴女も 未来を 限定されるから 老人が 羨ましい 僕が死ぬと 別の時代に 輪廻するだろう それが、遠い時代であれば 僕は 幸福でいられるが 記憶喪失は その代償 僕の現世は 生活ごっこだったから 僕の乗った舟の舵は どの方向に …

今書いている詩(31) 「腰掛イス」

腰掛イス あなたは今日も一日中 街角でたちんぼうですか 待ちぼうけでしたか 仕事でしたか 疲れていますよねぇ 私が心の腰掛イスを 其処に用意してありますよ お座りくださいね ああ だめですねぇ そんな石の上に 座り込んでは もう冬が来てますよ 冷えます…