昔書いていた詩(41) 「宇宙船」 「駅」

宇宙船

 
 私は希望を失って 大気圏を外れ
 地上に落下してゆく
 ビルが石柱のように立っているのが見える
 私に不可思議な力が働く
 枯葉より早く落ちる速度だ
 
 ニュ―トンが林檎で
 万有引力の法則を知った日のように
 空はどんよりと暗く 寒い
 血漿が凝縮してしまう
 
 私は肌を摩擦する
 赤い光を放って
 意識が燃える
 空気振動を生じる
 北極点でオーロラが観測される日
 私が燃えているのだ
 
 
    駅
 
 山を見ている
 緑の林と岩壁の輝き
 俺が山の駅で
 方向を失った時
 少年たちがトンネルの
 狭い階段の下で
 唇を曲げて笑っている
 
 「レールの傾きはどうだい」と
 線路工夫が聞く
 少年たちは
 首を振るばかりだ
 闇の中レールが
 ずーと延びている