2013-12-01から1ヶ月間の記事一覧

昔書いていた詩(191)

貝 都会は疲れた心を癒す オアシスがない アスファルトには 地中に吸い込む空気孔がない 郊外に住む僕の所にだって 星はわずかに見える程度だ 貴女は家へ帰って 編物でもして下さい 私は時代に取り残され 浜辺に打ち上げられた 貝拾いに出かけます。 2号室 …

今書いている詩(191)

たろうさんの山桜 家の屋根を 越え 空気の流れに 乗って 身を任せ ゆっくりと 山桜の 花びらが 里山に 下ってゆく 桃の花の 木蓮の花の 横を過ぎ 地の底に 下ってゆく 淡い花びら の 群れ 過ぎゆく 季節に 椿の花 色あせ 地に落つ 山が萌える 朝に 曇り空 が…

昔書いていた詩(190)

公園 団地の公園の皐月が 青空に咲いている 雨に打たれた 緑も深みを増す 日差しが今日も強い 自動車の騒音が 垣根に吸い込まれてゆく 子供たちが遊ぶ サッカーをして ボール投げをして ゴム飛びをして 誰もいない集会場が 片隅に立っている 夕方になると 水…

今書いている詩(190)

たろうさんの湯船 おい小さなクモ君 何処から入ってきたんだい そんなタイルの壁に しがみついて 落ちては登りまた落ちる 君の姿勢も不安定だね 折りたたみのフタを広げたら あらっ 君は湯船の中へ 仕方が無い 茹でグモ君になっちまうね 助けなくちゃ~ね た…

昔書いていた詩(189)

錆び 僕は目も見える 体中どこも悪い所はない テレビで障害を持った人の 絵画を見たが 僕は五体満足でも それらのなに一つも なすことが出来ない 言い訳ばかりの毎日は 草を食べて反芻する牛以下 平凡でも努力する心があれば それ以上になれるのに 今は僕の…

今書いている詩(189)

たろうさんの樹 あなたは何故そこに 存在するのですか その理由はなんですか いつから立ち尽くしているのですか たろうさんはもう65歳です その前からあなたは 其処におられましたね 誰があなたを眺め其処で 喜びや悲しみの涙を 流したのですか あなたはそ…

昔書いていた詩(188)

空気 虫が飛びまわっている 蜘蛛は糸を斜めに吐き 銀色に輝く巣を張る なんでもないように 空気は存在し 僕は今日も 窓ガラスの外を眺めてる 自由人だからではない ただの失業者 書くこともできずに 一日を所在なく過ごしている ファンヒーターの上に新聞が …

今書いている詩(188)

たろうさんの灯火 ひのもとでは輝きも薄れて 漆黒の中では自らを 顧みられずに孤独な日々 あなたは自ら光となれますか 人は光を求めるが輝けない 闇の中で人々は蠢くばかりです 信仰という光があるばかりですが それも忘れて現世を生きている あの世では人は…

昔書いていた詩(187)

充電 電池は充電している 僕の体内時計に 充電している 僕は時々左ネジを 注文する 過去のバネで 圧迫された時が 眠る僕の夢の中で 撥ね返る 日々時は過ぎゆき 毎日を怠惰に 生きている僕に 不安となった呼吸が 襲いかかる このまま海の中に 沈んでしましま…

今書いている詩(187)

たろうさんの誕生日 家の前の道を元気な声で 小学生がふざけながら通る その声で起きる 未来が通って行く いつもの習慣で 6時頃に一度起きてしまう 2度寝3度寝なのです 万年床だったのを辞めて 布団を押し入れに仕舞う 窓の外を見ると 桃の花が満開です …

昔書いていた詩(186)

百日紅 猿滑の花の色は薄紅 僕はそう思った しかし 色覚異常の僕のこの目に 映ったこの色の真実は何だろう 白黒にしか映らぬ人々もいる 僕は夜そっと娘に教えてもらおう いま娘は保育園に言って食事中だ 久しぶりの青空が 猿滑の向こうに見える 広告 僕の中…

今書いている詩(186)

たろうさんのモンシロチョウ(2) モンシロチョウさん飛んできた 菜の花は其処なのに あらぬ方向に行ったり来たり 気ままに飛んでるのかな おや~散歩してるみたい あらあら 其処は 三つ葉の上ですよ たろうさんが幸せの 四つ葉を探して この間一生懸命 覗き…

昔書いていた詩(185)

夢(30) 二人の兄弟 兄は千重 弟は千波 2本の無銘の刀を持ち 兄は楽天的で弟は物思い 或る日兄は先祖の郡代が 桐を片手切りした刀で 据物切りしたが仕損じた 弟は友達の加勢に行こうとして 押しとどめられ刀を見つめる 村祭りに人々が刀を差して 集まるこ…

今書いている詩(185)

たろうさんの娘(6) クマが好きだから 壁に絵が貼ってある 人形やぬいぐるみグッズがある クマのカレンダーが 12月で終わったのが そのままにしてある その下のエレクトーンの 上に今年のカレンダーが 置かれている 娘は新しい生活をするために 去年の12…

昔書いていた詩(184)

立鏡と埃と朝 立鏡は見ている 部屋の中を一日中 無言で見ている 私は時々それに気がつき 鏡の中の自分を恥ずかしげに見る 部屋の中で動くものがある 微妙に動くのだ 空気に混入している埃だ 朝の光線に光っている 私が動く 彼らも動く 机の蛍光灯が 鳴ってい…

今書いている詩(184)

たろうさんの痕跡 風呂から出ると直ぐに たろうさんは洋子さんに 帯状発疹の跡に塗り薬を つけてもらう日々が 今も続いています 帯状発疹は右胸から 右腕へ後ろの肩まで ちょうど肋間神経痛に 沿って出来たのです 右脇と背中はまだ痛みます 暖かくなったら少…

昔書いていた詩(183)

飛行機雲 「おとうさん おとうさん」 外から私を呼ぶ娘の声がする 外に出てみると娘は 空を見上げゆびさして 「おとうさん 飛行機雲だよ」と言う 壊れかけて重なり始めた飛行機雲 その上にまた飛行機雲 娘は3歳 今日保育園を 登園拒否した 妻は「貴方みたい…

今書いている詩(183)

たろうさんの欲望 どんな少しの希望でも 人は欲しいものだ それが膨らむと 大きな欲望になる 釈迦の出家の元でもある しかし 歴史は欲望の 絶えることがないのを 伝えている 私たちの社会も 欲望故に発展した これからも欲望が 消えることはない 東日本大震…

昔書いていた詩(182)

不眠 不眠の私は 夢を抱えて眠る 幾重にも 夢は私の背中に 出現して私は 朝を迎える 私は重い頭の中で 5月の空気を感じて 仮眠を続ける 溶け出した雪のように 私は寝床に 横たわり 一日の長さを 数えてみる 私の不眠は 明日への不安から 成立している ピサ…

今書いている詩(182)

たろうさんの楽園 (2) 寝ている リビングから見える 菜の花の上に 桃の枝が伸びている 花が咲いている カーテンが揺れている 風が山の雑木林に当たり ご機嫌が悪い 唸っている スズメは無神経に話している 椿の咲く餌台の隣で 「餌を与えてくださいね 洋子…

昔書いていた詩(181)

記憶 僕は僕の上に記憶を重ねてみる 厚く漆器のように重なった記憶が 時代の接着剤で固まる 僕は夢の中で溶剤を溶かすように 記憶を回復する 苦い過去よ再び僕の頭の中で コップの中のシロップのように沈め 飲み込まれた甘い喜びは 忘れられがちだから 再び…

今書いている詩(181)

たろうさんの楽園 モンシロチョウが菜の花の 菜園にやっと戻って来ました 今年は椿がいっぱい咲いて ヒヨドリさんが花の中に 顔を突っ込んでいます あれっ 見慣れぬ鳥だなぁ~ あんた達も同じ事してますね ネットで確認しちゃいました ああ いつも元気で啼い…

昔書いていた詩(180)

パラボラアンテナ 通信のパラボラアンテナが 公園のケヤキの上に 黒く顔を出している 道路公団のものだ 大きく口を開けた 貝みたいだ 桜 桜の花が咲き 散ったと同時に 公園のケヤキの緑が芽吹く 山々は若葉の季節 南の斜面では ワラビが伸びているだろう 街…

今書いている詩(180)

たろうさんの証明 里美さんあなたをこの世に 存在させた責任が たろうさんと洋子さんには あるのです 責任の重さと将来を危ぶんで 子供を作らない人もいますが たろうさん夫婦は重い責任を あえて選び 不妊治療もして 子作りに励み10年目にして あなたを授…

昔書いていた詩(179)

スーパーヒーロー 僕は夢の中で スーパーヒーローになって 極限の世界に挑戦した 悪は限りなく強い 空を飛ぶ 警察官になり 拳銃で犯人を撃つ 夢現(ゆめうつつ) 時代を超えて 僕は生きている 僕の目前では今 戦国の城が 落城しょうとしている 力なく城外へ逃…

今書いている詩(179)

たろうさんの喜び 「あっ モンキ蝶が来ている」 たろうさんは長椅子で寝ぼけている 洋子さんに思わず叫びました 昼寝して2階から降り来て 見つけたのです ひろこさんは「何よ うるさいわね」と 眼を開けてまた瞑りました たろうさんの不安は3・11を境に …

昔書いていた詩(178)

イメージ 想念することは 時代を超えたものだから 僕が戦国時代の人物を 想念すれば その時代の人物に 出会えるだろう 娘 手を伸ばす 心も伸ばす 希望はどうなる 娘が保育園から 帰ってくる 「今日は公園に 遠足にいったよ」と言う 僕は心が楽になった 娘が…

今書いている詩(178)

たろうさんの多摩御陵・武蔵野陵 空を見る 樹木をみる 誰もいない 御陵で友と語る 話し声が 玉砂利に 吸い込まれてゆく 何処までも 広がる空間に 御陵の静寂と 空の青は なんでしょうね 香淳皇后陵の 石垣で猫が 居眠りしてる 参拝者がくる 足跡が先に 参拝…

昔書いていた詩(177)

夢(29) 僕は夢の中で 暴力団と対決する 昨日見た夢は 配線をする夢だった その他にオシログラフで 何かを測定していた ノコギリ波が二重写しに ブラウン管に映し出されていた 閉塞 大きな希望も 小さな不安も それぞれに広がる 僕の身の丈に懸かっている生…

今書いている詩(177)

たろうさんの本門寺 総門の階段を仰ぐ その横のビルの垂れ幕に 大きく書かれた 「いのちに合掌」 なんか心に ビビーンと来ちゃいました 日蓮上人の荼毘に 付された場所の 「宝塔の深い赤」 なんか心に ビビーンと来ちゃいました 池上氏の館跡の 大坊の石庭で…