昔書いていた詩(183)

    飛行機雲
 
 「おとうさん おとうさん」
 外から私を呼ぶ娘の声がする
 外に出てみると娘は
 空を見上げゆびさして
 「おとうさん 飛行機雲だよ」と言う
 壊れかけて重なり始めた飛行機雲
 その上にまた飛行機雲
 
 娘は3歳 
 今日保育園を
 登園拒否した
 妻は「貴方みたいね」と
 一日中怒っていた
 しかし 娘はかわゆい
 私はそっと手を握る
 
 
    官能小説
 
 どのようなものが官能小説だろうかと
 私は何冊か買ってきて読んでみる
 私の経験にはないのだ
 失業中の糧にならないかと思いついたのだが
 私はいまだに官能小説を一行も書いてない
 私の有りもしない経験を金にできそうもない
 20年前の女の人との出来事を少し思い出してみる
 やめるかな 大切な思い出を棚の隅に
 眠らせておきたい私がいる