昔書いていた詩(182)

 
    不眠
 
 不眠の私は
 夢を抱えて眠る
 
 幾重にも
 夢は私の背中に
 出現して私は
 朝を迎える
 
 私は重い頭の中で
 5月の空気を感じて
 仮眠を続ける
 
 溶け出した雪のように
 私は寝床に
 横たわり
 一日の長さを
 数えてみる
 
 私の不眠は
 明日への不安から
 成立している
 
 ピサの斜塔の数式に似て
 定理されたものではない
 経理事務所の青い
 ファイルの中に
 閉じられている
 
 私は習慣のように
 夢の中にいるのだが
 夢は私にひっいて
 離別できない
 貴女と私のようだ