昔書いていた詩(187)

  充電

 
 電池は充電している
 僕の体内時計に
 充電している
 
 僕は時々左ネジを
 注文する
 過去のバネで
 圧迫された時が
 眠る僕の夢の中で
 撥ね返る
 
 日々時は過ぎゆき
 毎日を怠惰に
 生きている僕に
 不安となった呼吸が
 襲いかかる
 
 このまま海の中に
 沈んでしましまおうか
 浦島太郎のように
 
 僕は左手の金色の
 時計を眺めながら
 深く 重く ゆっくりと
 左手を差し上げる
 
 その左手の上で
 時の鶯がチチと啼く
 放送局で女のアナウンサーが
 報道原稿を読み上げる
 
 あすは確実にやって来て
 予想外のことなど何もないよと
 報道局長は座りなおす
 
 「私は深海の貝になりたい」
 そんな映画があった
 
 旧約聖書の中に
 僕の現実が詰まってるかな
 確認できない貴女がいる