昔書いていた詩(180)

 

    パラボラアンテナ
 
 通信のパラボラアンテナが
 公園のケヤキの上に
 黒く顔を出している
 道路公団のものだ
 大きく口を開けた
 貝みたいだ
 
 
    桜
 
 桜の花が咲き
 散ったと同時に
 公園のケヤキの緑が芽吹く
 
 山々は若葉の季節
 南の斜面では
 ワラビが伸びているだろう
 
 街に鳥がいなくなり
 木々の葉が枯れている頃に
 桜は咲く
 
 娘を花見に連れてゆく
 娘はオモチャのバケツに
 花びらを一杯集め
 花吹雪をしてくれる
 
 僕の故郷の村祭りの頃に
 桜が遅れて咲くのは珍しい
 娘は熱を出し
 僕は祭りに行けない