昔書いていた詩(99) 「パン」

パン

 
 山をバターのように
 パンの上に擦り付けた
 辺りに 乳白色の
 プラスチック板の
 空がある
 
 そのあたりの
 厚い重なりの
 雲の割れ目から
 油絵の看板が
 落下するのを
 16世紀が見ていた
 
 朝焼けを見ていた
 鳥は
 雨が降るのを知る
 啼かない
 羽ばたかない
 
 ガリレオは 
 階段の上で
 時計を拾い
 ロビンフットが
 林檎を矢で射た