昔書いていた詩(91) 「意識」 「監視塔」

意識

 
 鉄の心の中にも
 紛れ込めない
 俺の意識がある
 輝けるものは
 真実か
 
 豊かなものに
 病根はないのか
 いつも 哲学者の
 言葉はどうして
 砂漠のように
 不毛に聞こえるのか
 
 俺は 考える 語る
 朝の デザートのあとで
 そうだ 女には真実があったさ
 だが 輝けるものはどうだ
 豊かなものはどうだ
 
 夜 俺の耳には
 蛍光灯スタンドの
 チョークの響きが
 聞こえる
 
 俺は 女と哲学者に
 青酸カリ入りの
 グラスを勧める
 
 
    監視塔
 
 白髮の老婆が
 横を向いて通る
 基地の監視塔に
 雑草の立話
 「太陽の黒点は見ましたか」
 
 俺は夢を語れるか 語れまい
 ああ 俺はかって この街の支配者
 誰が建てた 誰も建てない
 誰が見た 誰も見ない
 それでは 街の老人
 「わしの 子供のころには もうあったさ」
 
 私の心の バイブルは
 白眼の 老人達が守る
 ああ 死者の監視塔
 それらが 総て 動く日に
 核の 風が吹く
 
 貴方は 日焼けした 壁を曲がる
 後を追いかけて 雨が曲がる
 蒼空の 緊張が 始まる