昔書いていた詩(90) 「銅版画」 「手」

 

  銅版画

 

 

 時間が過ぎてゆく

 

 俺と云う存在の

 

 哲学の中で

 

 まだ 寝ているように

 

 何もしていない

 

 

 

 俺は 俺を捕まえていない

 

 俺の心は 腐食してしまった

 

 銅板画のように 鈍い輝き

 

 何もしない時が 過ぎてゆき

 

 俺は テレビの前を

 

 離れようとしない

 

 

 

 俺は今日も 無職なのだ

 

 毎日すること等 ない

 

 俺はそうして 遊んでいるうちに

 

 変貌してゆく

 

 

 

 職業安定所の紹介係との

 

 会話は モノラルだ

 

 俺が帰るときは いっも同じ

 

 ハーモニーの 演奏だ

 

 

 

 

 

    手

 

 

 

 真っ黒に

 

 汚れて

 

 遊ぶ

 

 子供達よ

 

 君達の

 

 その手の

 

 汚れは

 

 洗えば落ちる

 

 

 

 だが 

 

 大人よ

 

 お前の手の

 

 汚れは

 

 落ちない

 

 

 

 あまりにも

 

 偽りだから

 

 あまりにも

 

 空が

 

 青いから