昔書いていた詩(7) 「流刑者」

流刑者

 夕陽が没すると 
 原野の流刑地で 
 老人が目覚める

 天空から一本の縄が 
 スルスルと降りてくる
 老人はよじ登る 
 なんとかこの境遇を 
 脱出しなければなりませぬ

 真昼には地上を 
 金色の一角獣が疾走し 
 黄金の糞をするから
 朝日は老人にとって憎悪そのもの

 縄は一舜にして切断される
 老人の落下する速さを計算する 
 科学者の瞳は輝いている

 あれから何年経たであろうか 
 流刑地の老人は呟いた
 涙などもうとうに乾いて出ない