2013-06-21から1日間の記事一覧

今書いている詩(7) 「義母(貞子)」

義母(貞子) 88歳の義母が泊まりに来ているときに 娘の彼氏が背広で挨拶に来た 「同棲を許してください」と言う 本も買って何度も練習したらしい 「嬉しくて泣くのはいいが 悲しくて泣かせないでくれ」 私はそれだけを言った 二度目の言葉だった 耳が遠く名…

昔書いていた詩(7) 「流刑者」

流刑者 夕陽が没すると 原野の流刑地で 老人が目覚める 天空から一本の縄が スルスルと降りてくる 老人はよじ登る なんとかこの境遇を 脱出しなければなりませぬ 真昼には地上を 金色の一角獣が疾走し 黄金の糞をするから 朝日は老人にとって憎悪そのもの 縄…