昔書いていた詩(6) 「検札者」

検札者

 不眠症の都会の地中を 
 鋼鉄の電車が走り続けます

 座席の女は 身動きもせず
 犯されたセックスを 開いています

 白黒の切符には 日付がないから
 女は眠りたくても 眠れない

 眠りたくても 眠れない女と
 止まりたくても 止まれない電車

 『哲学者の考えにはついて行けないわ』と
 独白して女は窓から 
 身を乗り出して妊娠する

 検札者も 車内も 
 女の目からみれば
 のっぺらぼうだ