今書いている詩(4) 「たろうくんのニワトリ」

たろうくんのニワトリ

 
 学校から帰ってくると
 たろうくんをニワトリが出迎えます
 足のすねをつつくのです
 たろうくんはお父さんに
 「いつも足をつつかれて痛くて嫌だよ」と
 泣きべそをかきながら言いました
 次の日にニワトリはいなくなりました
 
 たろうくんの家に届いた伯父さんの
 年賀状にはニワトリが書いてありました
 太郎さんはテレビでニワトリが
 足をつつくのは親愛の
 表現だと知りました
 あのニワトリがどうなったのか
 太郎さんの記憶は曖昧です
 
 たろうくんが電球を入れて暖め
 ハコベラをすり潰して
 育てたニワトリです
 夜店で売っているのはオスで
 強いヒナばかりなのです
 
 太郎さんの奥さんは
 スーパーの精肉部門で働いています
 「今日の鶏肉は100g98円です」
 今日のチラシを見て出かける主婦がいます
 
 「食育授業の時間ですよ」と出された肉が
 大事に育てた豚の肉と知らされて
 泣きながら子供たちは食べます