昔書いていた詩(3) 「大地」

大地

 道を歩いていると 
 大地の硬さが28cmの足全体に伝わる

 駅の改札口に杏子色の制服の
 女学生が立ち止まっている

 薄い財布の中身は拾円銅貨で 
 発車のベルと一緒に僕の一日が始まる

 いつもの駅で会いたい女に出会う
 通勤電車は満員で 
 僕の体はマイナスイオンを帯びてしまう

 駅前の大時計が時を刻みバスが来る
 電話ボックスの中で 
 何度もお辞儀をしていた男が喚きだす

 今日も自分を変えられない僕は 
 蜘蛛の糸にかかった虫よりも不自由だ

 そしてぼんやりしていてバス停を乗り過ごす
 誰よりも過去と未来の 
 鬼ごっこに熱中していたから