今書いている詩(2) 「待つ」

「待つ」

 
 たろうくんは立ち続けている
 宮ノ前の鳥居の傍の
 八幡神社と石柱に彫られた
 処でじっと待つている
 夕闇が近づく頃
 遠くにお母さんの姿が浮かぶ
 
 たろうくんの顔に嬉しさが広がる
 お母さんは浅川駅から2キロの
 山道を不自由な足を
 引きずりながら帰ってきた
 
 働き過ぎで「茶目」と言う眼病に
 なったお母さんは
 たろうくんを見つける
 ビックリ眼をしばたたせて
 嬉しいのだが切ない思いが込みあげる
 
 自動車で宮ノ前を通るたびに
 太郎君は娘に言う
 「お父さんは此処でお婆ちゃんを待っていんだよ」
 娘は「またお父さんは言っているね」と母を見る
 
 健やかに成長した娘は
 来年に彼氏と同棲するために
 アパートを探している
 この地も候補にあるらしい
 
 娘の子供も太郎君のように
 此処で待ち続けるのだろうか
 娘の幸せを願う私がいる