今書いている詩(361)

 

    たろうさんの南多摩高校

 久しぶりに昭和42年に卒業した
 母校へ行った
 定時制で4年間を学びました
 友達も貧しかったが
 楽しい日々でした

 舟木一夫の「高校3年生」の映画を
 撮影した校舎は何処にもない
 歳月は思い出を残さない
 わたしの頭の中で発酵した
 思い出が 校庭を見ながら
 敷石の上を事務室に向かって
 ゆっくり歩いて行く
 秋の日を浴びて生徒達が
 楽しげに運動している

 バスケットの時に飛び上がって
 半欠けの前歯が空気に晒されている
 上の歯は変色し下の歯に
 被せた金歯が溶けて石膏が白く覗いてる

 訪問の目的は県敏夫先生が
 「若林牧春」さんの歌碑を調べたい
 との希望からです
 事務室は「営業企画室」と名前を変えていました
 若い女の事務員さんが「あのお電話の方ですね」と
 すぐに対応していただきました
 入校証を首に架け探します
 旧甲州街道側のあかね会の建物跡にありました

 「府立第四高女全国大会優勝に贈る一首」で
 「勝ちにけり よくぞ泳ぎし 成し遂げて
  精進の日々 思い深らむ」
 の歌が刻んであるはずが これは活字のもので
 実際は平仮名交じりの草書体で刻まれていました
 「後日 拓本を取り直したい」と
 夜に県敏夫先生から お電話でした

 「嬉しいですね ご縁は何処にでもあります
  県先生の板碑の先生が 石井真之助さんで
  わたしが学んだ英語の先生でした」