今書いている詩(358)
たろうさんの娘 (11)
娘は化粧品会社のBCをしています
某薬局の化粧品のコーナーを任され
年3回のセールのたびに前年を上回る
成績を上げています
9月の末のセールも良い成績でした
お客様に支えられてのことです
でもその陰には切なくも涙のドラマがあったのです
セールのたびに娘はお客さんに
コメントをつけた案内を出しています
その中のお客さんに2月のセールから
おいでにならない女性がおられます
それまでは毎月のようにお店に来られたそうです
6月と9月のセールにもやはりお見えになりませんでした
案内状と多少のサンプルも送っていたのです
どうしてだろうと気になっていたようです
9月のセールにその女性の親戚の方が来店されて
「実は3月に亡くなっていました」と言われました
出していた手紙などは親戚の方に回送されていたのです
たろうさんはセールが終わって高尾駅から家に帰る
車の中でこの話を聞きました
立川の病院で心臓の疾患で亡くなったとのことです
56歳の独身で独り暮らしでした
この女性はたろうさんの娘を自分の娘のように思われて
いたのでしょうね
毎月お店に化粧品を買いに来るのが楽しみだったのでしょう
娘があげたサンプルが少なくなったので
「代わりに買ってこようか」と親戚の方が言うと
「良くなって 自分で買いに行きたい」と断ったそうです
こんなにも女性は化粧品に気を遣うのですね
会社に勤めていたからだけでしょうか
娘はこの話を聞いて「ショックだった」と言います
たろうさんは思います
このようにして亡くなった女性の思いを伝えなければとね
この女性もあの世からお店と娘を見つめているのです
守っているのです
たろうさんからのお礼ですよ
「あの世からの応援ありがとうございます」