今書いている詩(356)

「たろうさんの娘(10)」

 

 9月29日とうとう娘の戸籍が
 外れる日が来ました
 27年間清水の娘でありがとう
 いつまでも「子」ですよ 娘です
 昨夜は仕事が忙しく夜遅くの泊まりでした
 来年の結婚式に使う写真を洋子さんと
 楽しそうに選んでます
 「眠いので先に風呂入るよ」と言いながらも
 たろうさんは二人を見てます
 幼いときはふっくらしてたので
 「どうしてこの期間の写真がないの」
 「あんたが嫌で選ばないだけよ」
 写真はいくらでも撮ってあるのです
 たろうさんは隣で聞きながら
 寂しくないです 嬉しいですよ

 前に言ってました9月29日は
 「食う(9)肉(29)なので加藤君また
  太るから困るのよ」
 「自分で選んだ人だよ」と言いながら
 暦を観ると大安です 運が良い娘です
 職場ではまだ清水を使うとのこと
 申し分のない姓名判断なので生かして
 くれないかと思ってました 嬉しいです

 天使ちゃんで女王様のお帰りです
 家の冷蔵庫がスカスカです
 「男の子ならとうに意見が合わずに
  家を出ているんでしょうね」
 「そうだな 何をしているんだお前
  男だろうしっかりしろだろうな」
 「女の子で良かったですね」
 「あんたも女の子を産んで良かったな」

 「もしもし お父さん お母さんは?」
 「今お風呂入ってるよ」
 「それじゃあ出たら 電話欲しいの」
 「やはり冬の制服のズボンないのか 一日から
  冬服だろう どうするんだ」
 「たぶん お母さんに洗濯に出してと
  頼んだ気がするのよ」
 洋子さんに伝えると部屋を探して
 「ないわよ」とすぐに電話します
 「お父さんの部屋も探してよ」と娘も
 食い下がります
 「分かったわよ 探すわよ」
 ありましたよ たろうさんの部屋のタンスにね
 4月にすぐに洗濯に出してあったのを
 洋子さんすっかり忘れてました

 やれやれこれで娘のズボン騒動も終わりです
 加藤君と一緒に明日取りに来るそうです
 社内販売で買ったハムも渡すと洋子さん
 「クリーニング代貰わなくちゃね」
 洋子さんはむきになって弁明です
 ノー天気のたろうさんはつぶやきます
 「天使ちゃんで女王様に また明日会えるなぁ~」