今書いている詩(355)

 「たろうさんのズイキ(芋茎)」

 

 洋子さんは前から妙なものが好きです
 それがズイキ(芋茎)です
 サトイモやハスイモの葉柄ですよ
 わたしは竹の子とズイキ(芋茎)には
 トラウマがあるので知らん顔をしていました
 あの肥後随喜の類いではありません
 間違えないで下さいね

 八王子では「ずい(髄)」と呼ばれます
 乾燥した物は関東では「ほしずい」と言います
 親友の五十嵐君が野菜と一緒にこれをくれました
 残りが一袋になって大事に食べていたときに
 洋子さんの職場の同僚が「ズイキがあるわよ」と
 声をかけてくれました
 一束100円で10束買いました

 調べるまで知りませんでした
 便秘に効く 糖尿病に効く
 塩分を排泄するカリウムが多いので
 高血圧に良いのです
 そのほかにも良いこと尽くめです
 洋子さんひとりに食べさせておく手はない
 わたしも長生きしたいので今日から食べますよ

 最もわたしが肥後随喜を使い
 歓喜にむせび泣かせたことなどありません
 それなら今ごろ腎虚の干からびて廃人ですよ
 わたし精力弱いのです

 蜂に刺されたときにこれを折って塗りなさいでした
 葉の露がコロコロ転がりきれいでしたね

 「いもの葉に置く白露のたまらぬは
  これや随喜の涙なるらん」(夢窓疎石

 *肥後随喜は肥後細川藩が徳川家に献上した
  性具で大奥で使われた