今書いている詩(316)

   たろうさんの現世・明日

 2階のカーテンを
 少し開けて
 遠くの山並みを
 覗く
 日が差し込んで
 眼がまぶしいから

 あの山の向こうに
 何があるんだろうと
 ふと思う
 子供じみてるね

 希望や未来も
 明るい明日もね
 あるだろうかな
 なんてね

 だってもう
 通り過ぎた
 過去だもの
 わたしの手に
 届くところに
 あったんだよ
 なぜ逃したんだろう

 子どもの頃は
 狭い世界に
 閉じ籠もっていたから
 知らなかったから
 憧れたんだよ

 いまなら
 向こうの世界にゆける
 山も越えるよ
 辿り着ける

 でもね
 空と月は逃げてゆくよ
 恋しい女性のようにね

 そして今は
 心だけが現世に
 踏み留まっている

 「あなたには明日が
  あるよと
  伝えておくよ」