今書いている詩(304)

   たろうさんの月 (幻影)

 西の空に
 淡ぼんやりした
 月が
 浮かんでいる

 セミ君は夜も忙しい
 長くない命だからね
 あれはアブラゼミ

 トイレの温度計が
 25・5℃です

 コオロギ君の
 初泣きを聞く

 立秋の夜に
 夏が去り
 秋へと移行する
 晩であるらしい

 虫たちにも
 交代の季節だね

 どこかで家が
 ピシッと軋んだ

 月が言葉を
 吐き出している