昔書いていた詩(210)

    父 ( きよまさ )
 
 葬儀屋に
 花輪があるのは
 珍しいことではないのに
 ホロ付きのトラックに
 準備された花輪が
 積み込まれてゆく
 
 僕は父の葬式の
 花輪の数を思い浮かべた
 老いた父の葬儀には
 幾つの花輪が並ぶのだろうか
 友達の少ない身内も減ってしまった
 父の葬儀は寂しく終わるのだろうな
 
 死ぬまで競輪一筋の父
 僕は父が僕を育てた
 年齢に近づいている
 僕もまた職もなく
 生きているが
 誰のお陰だろうか
 
 6月の梅雨の中休み
 肌冷えのする街中を
 自転車で家路に就く
 
 でんでろりん
 でんでろりん
 僕らが唄う
 精霊の歌
 
 でんでろりん
  でんでろりん
 子羊の迷い歌