昔書いていた詩(209)

   魚と鴨

 
 日曜日が過ぎた
 浅川の河べりに
 人影はない
 釣り人の姿もない
 河原は草で埋っている
 
 岸辺の深みで
 魚たちは泳いでいる
 釣られる心配がないから
 今日は安心なのだ
 
 橋の上で日曜日の出来事を
 思い出しながら
 僕は自転車を漕ぐ
 僕はこれから職安にゆくのだ
 6月の空が鈍く
 駅まで続いている
 
 鴨の夫婦が茂みに隠れる
 ふと 大水の時には
 魚も鴨たちも何処にいるんだろうかと
 思いながらゆっくり
 自転車を漕ぎ続ける
 
 あなたにはわかるだろうか
 6月の僕の属性が
 夢の中で赤子を抱いて
 あやしている僕の姿を
 幸福そうな笑顔を