昔書いていた詩(154)

    爆音
 
 かなたの雲を掻き分けて
 爆撃機の爆音が
 僕の耳に向かって
 直線に落下してくる
 僕の耳は
 空に向かって
 広がった音のレーダー
 その内に閉じた心の
 生活が律動している
 
 
    腕時計
 
 僕は腕時計をはめる
 固く結ばれた縄が
 解けるように
 僕の心の秒針が回りだす
 僕は遠い時代から
 今日まで何処かで
 時の流れを信じていたが
 自動巻きの腕時計をしたので
 明日からは規則的な嬉しい
 日々が待っているような気がする
 
 
    攪拌
 
 誰でもよいから
 友達と二人連れで
 記憶の谷を越えて
 別世界を訪れたい
 それが僕のささやかな希望だ
  たとえ今日が不安に支配され
 僕の頭の中で未来が
 攪拌されていようとも
 愛がある限り僕は進む