昔書いていた詩(149)

  そら

 
 六月のそらは
 梅雨の晴れ間に
 青空を覗かせている
 公園は緑の衣に満ちている
 風が八王子盆地を
 渡ってゆく
 真夏日だ
 街角に氷柱が立っている
 横田基地に向かって
 黒い機体が頭上をかすめる
 爆音が響き
 暑さが倍になる
 不安な夏の始まりを
 小窓から娘が覗いている
 
 
    川
 
 時は川の流れに似て
 僕の愛は釣鐘のように
 天空から吊り下がっている
 僕の鐘を打ち鳴らすのは誰だろう
 時の狭間で僕は漂い
 響き渡る鐘の音と共に
 夜の闇に吸い込まれてしまう
 電柱が三日月を見上げる
 娘が僕を探している