昔書いていた詩(148)

    落下
 
 堕ちてゆく毎日の
 僕の生活
 空の一角から落下する
 雨の一滴よりも
 重い速度で
 
 
    白髪
 
 僕の鼻毛には白髪がある
 左右の穴に
 仲良く一本づつ生えている
 僕は頭の白髪のように
 それを抜き取る
 少しの痛みとともに
 白髪は抜ける
 そんな仕草をを忘れかけた或る日
 また僕は鼻毛の白髪を見つける
 頭の白髪は老いの印だから
 僕の鼻毛もそうなのだろう
 僕は確実に老いて行き
 白髪とともに生きねばならない
 
 
    怠惰
 
 失業中だからと言って
 何もしないで食べて寝ていて
 少しばかり考えたと言っても太るぞ
 腹ばかりが前に出て
 最後には太鼓腹になり
 自分のセックスも見えなくなるぞ
 腹の中には空気も風船も入っていない
 怠惰な思考だけが宿っていて
 三才になる娘は面白がって
 私の腹を踏む