昔書いていた詩(132)

   夢(7)

 
 夢のなかで飼っていた
 馬が死んだ
 私は夢のなかで
 二度乗馬して落馬する
 飼われていたのは
 中学校の校舎の中
 飼い葉を残して死んだ
 校庭は馬糞で汚れていた
 
 
    エスパー
 
 異次元の空間を
 伝わって
 放射される
 君のエスパーが
 時を越えて
 僕の所へ
 やって来る
 
 
    季節
 
 北の尾根で
 風が舞っている
 誰も知らない岩陰で
 新しい季節が誕生する
 白い風景のなかで
 ライチョウが啼く
 もうすぐまた吹雪が来る
 山はまだ冬眠から醒めない
 
 都会の片隅で
 山へ出かける日を
 待っている
 男たちを見かけて
 風が止まる
 記憶をなくした
 掛時計が動き出す
  
 雪臂が崩れて
 雪崩となって
 麓に押し寄せる
 春はもうすぐだ
 
 
    メガネ
 
 時のメガネを
 失った僕は
 平衡感覚をも失い
 捻れて
 捩れて
 回転するコマ