昔書いていた詩(131)

 
    夢(5)
 
 僕は夢のなかで
 古い家にいる
 外は四月だというのに
 白い雪が積もった
 僕は水道のゴムホースで
 雪を溶かした
 トウキビ畑はすぐに雪が解け
 家を取り囲んでいた雪も
 夢のなかに消えた
 新しい創造の世界の
 始まりの雪であったろうか
 
 
    盆地
 
 廻りが山で囲まれた
 街にいて山を見ている
 丘陵程の山から 丘へ 山へ
 かって登った足あとが
 瞼に残って
 春の山は浅い
 
 
    夢(6)
 
 夢のなかで詩を創る
 同じ言葉を
 何度も繰り返す
 目覚めて思い起こせば
 何んとその平凡で
 つまらぬことだ
 夢のなかでは誰でも
 主人公であるから