昔書いていた詩(128)

   ネオン

 
 闇のなかに
 ネオンの花が咲く
 原色のバラを
 手折るのは誰
 
 夜空に
 浮かぶ色街を
 ギターの流しがゆく
 場末のクラブで
 過去の唄を
 歌手が唱っている
 
 雨の日は
 車のライトも暗い
 背を曲げて
 男が独白しながら
 家路をたどる
 
 空の回送電車が
 闇を照らして消える
 駅前の駐車場で
 犬が夜空を見上げて
 吠える
 
 雨は歩道を打ち
 傘をさす手が冷たい
 心も湿る夜に
 星は瞬かない
 
 都市の上空を 
 厚い雨雲が
 覆っている
 その下で
 マイホームが
 主の帰りを
 待っている