今書いている詩(104) 「たろうさんのガビチョウ(画眉鳥)」

   たろうさんのガビチョウ(画眉鳥)

 小さな砂場の上に
 重さで潰れたキュウイの
 パイプ棚がある

 いつ切ろうかと思っているうちに
 たろうさんは帯状発疹になり
 洋子さんが自分できると言い始めました

 ガビチョウの番(つがい)が
 餌台から飛び移り
 キュウイの枯れ枝に
 止まってメスが砂場の角にある
 プラスチックの洗面器の
 まだ氷の解けたばかりの
 冷たい水をツンツンと飲む

 繁殖の季節なのだ
 まだ夫婦になれない
 娘たちのことをたろうさんは思います
 自分たちはもう枯れた夫婦です
 鴛鴦(おしどり)になって37年ですよ

 ガビチョウは特定外来種で野鳥になれない
 異国からの侵入者と同じで
 ペットが鳥籠から放されて
 野生化したのだ言われてます
 敵視されている鳥です
 たろうさんの家からも近い
 高尾山でよく聴けるので有名です

 ガビチョウ君は新緑の頃によく啼いてくれます
 その声にいつもたろうさんは癒やされていますよ
 街中では五月蝿い(うるさい)と言われ
 ガビチョウ君は可哀想ですね
 不法密入国者のように扱われてますよ

 たろうさんは君達が大好きなんですよ
 増えてしまった君たちに罪はないんです
 認めてくださいね 皆さん

 今日も八王子は寒いです
 毎朝プラスチックの洗面器は凍っています
 ヒヨドリ君もピーピー啼いて元気ですよ 
 たろうさんは20日から仕事に復帰です