今書いている詩(211) 「たろうさんの不思議な縁」

   たろうさんの不思議な縁

 ファンヒーターが唸って
 加湿器の湯気があがる
 雲に日差しが遮られて
 寒くなった午後のリビングで
 ひとりのたろうさんは
 ボンヤリと考えます

 夫婦の縁とは 親子の縁とは 
 友達の縁とは 別れた恋人との縁とは
 何だろう

 前世で果たせなかった思いが
 この世でのめぐり会いだとしたら
 妻以外の女の人とセックスしなかった
 たろうさんは思いを残して
 次の世で再会を果たせるのでしょうか
 男と女は「合い縁 奇縁」と言いますよ
 たろうさん

 錘のついた糸が右左に揺れるように
 人は善と悪を繰り返し
 糸の振れが止まったら
 悟りとなり輪廻はやむそうですね

 この世では善にも悪にも
 振れてないたろうさんは
 次の世があるでしょうね

 「また次の世で娘と親子の縁に
 繋がりたいなぁ~」と甘い考えの
 たろうさんもっと厳しく生きましょうね

 「仏縁の赤い ぶっとい糸で結ばれた
  洋子さんは一日中パートで遅いですよ 
  羊羹を食べて 待ちなさいね」

 たろうさんは思い出したように
 冷蔵庫の扉を開けました