今書いている詩(65) 「たろうくんのモミの木」

   たろうくんのモミの木

 おーい モミの木君 
 君はいつからそこに立っているんだい
 随分長い間そこに立っている
 気がするんだがね

 君は一年中青葉の衣を
 纏ったままだね
 北風は寒くないかい
 夏は暑くないかい
 雨は汚れを落としてくれるかい
 慰めてくれるかい
 雪は重くないかい

 もうすぐクリスマスが近づくから
 浮かれた人間がやってくるよ

 北向きの磁石を持って
 地図を眺めている
 人間がいるよ

 小屋のそばで斧を研いでいる
 人間がいるよ

 エンジンのかかったトラックが
 赤ワイン倉庫の前にあるよ

 たろうくんも浮かれた
 人間でなければいいね