今書いている詩(5) 「たろうさんのランドセル」

たろうくんのランドセル

 
 たろうくんは気が気でない
 明日は入学日だというのに
 ランドセルがないのだ
 双子の姉の分と二ついる
 どうなるのだろうと思いながら寝ます
 朝目覚めるとランドセルが
 二つ置いてありました
 縁側の小麦の入っていた
 一斗缶がなくなっていました
 
 太郎さんは団地の隣にある
 小学校に娘さんを迎えに
 土曜日になると行きます
 娘さんは笑いながら出てきます
 頭一つ大きな女の子です
 太郎さんは渡されたランドセルを
 持ちながら後ろからついてゆきます
 娘さんのランドセルは今ロフトの中です
 
 太郎さんは今もランドセルを背負っています
 過去の悲しみと現在の喜びと未来の不安が
 詰まり過ぎて閉まりません
 両手で抑えながら部屋の中を歩き廻ります
 
 太郎さんゲームオーバーになりそうですよ
 
 「誰か教えてください 郵便局はまだ
  空いていますか あなたの心の負債を
  振り込みにゆきたいのです」
 
 結婚前の26歳の娘さんは借りてきた
 Drスランプアラレちやんを読みながら
 笑っています