今書いている詩(386)

   今書いている詩(386) 「たろうさんの伝言板

 高尾駅の改札口の横の
 「待っているよ」と忘れられた
 小さな白墨で書かれている
 不揃いで 下手な文字の
 羅列の伝言板

 50年も生きて来たんだ
 横目で見ながら
 過ぎてしまった
 遠い日々の
 悲しみと喜び

 あの日も来なかった女に
 伝言を書きました

 新宿駅の反対側の
 ホームに佇んでいた少女が
 素晴らしく思えた
 運命のようのに
 駆けていった時間

 もう会えないけれど
 色褪せて見失った
 あなたの面影を
 心の伝言板
 白墨で書きました
 「待っているよ」