今書いている詩(370)

    たろうさんの石臼 (いしうす)

 半纏(はんてん)を着た祖父が
 鉢巻(はちまき)姿の父が
 石臼をゆっくり
 廻す 廻す 廻す
 微笑みながら祖母が
 割烹着(かっぽうぎ)の母が
 ふやけた大豆を
 石臼に入れます

 ガラゴロ ガラゴロ
 わたしのこころの石臼も
 廻ります 廻ります
 大豆は砕けて 
 熟(こな)れます

 ああ60年後の
 記憶の回路で
 増幅された思いが
 石臼を再び廻すのです
 それが起動力です

 お祖父さぁ~ん
 お祖母さぁ~ん
 お父さぁ~ん
 お母さぁ~ん
 そちらの世界は
 楽し~いですか
 わたし達を
 見てまぁ~すか

 あなた達の思いが
 星になって
 北天で輝いていまぁ~す
 希望と共にね~ぇ
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