今書いている詩(296)

   たろうさんの池 (彼岸)

 空打ちしたホッチキスに
 木綿糸を付ける
 池端のツツジの
 茂みに隠れる

 米粒の餌を付ける
 ろくな餌も食べてない 
 魚は簡単に釣れる
 おいらも腹が減っている

 おいらの前の家は
 小学校の校長先生で神主さん
 迷惑なおいらを
 じっと見てる
 おいらは手製の望遠鏡で
 覗き込んでいた
 困った子ども

 池でおいらは氷を割って
 毎日毎日 顔を洗う
 落ちたらおぼれます
 何も考えない
 無邪気な子どもです
 心配する大人がいました
 魚も釣れない
 今のわたしがいます

 仏性の空船をこぐ
 老人の彼岸が
 池の向こうにあるよ