今書いている詩(262)

  たろうさんの湧き水物語

 あなたの渇いた心から
 涙がが止めどなく流れて
 蒸発する 上昇する
 風を呼び大空に浮かぶ
 雲になる 霧になる 雨になる
 山河を潤す 雫になる

 あなたの涙は
 大海に辿り着くのか
 頂きで 分水嶺
 あなたは右に左に分かれ
 雨粒は地表に潜り 伏流する

 山里に辿り着く
 清らかな湧き水になる
 バイカモの咲く季節に
 あなたによく似た娘が
 ペットボトルで水を汲む

 泉の底から砂と共に
 知識と愛を 吹き上げる
 溢れた水はせせらぎとなって
 川へ 大河へ 海へ
 人も似た生々流転を移ろう

 浜辺で海を眺めている
 大人がいる
 子ども達が
 「おーい おーい」と
 呼んでいる

 水平線の彼方に
 希望が見えるから