今書いている詩(254)

    たろうさんのロト6物語

 かつてジャングルの上を
 わがもの顔で飛ぶグラマン
 三八歩兵銃を構えた
 日本兵のように

 わたしは当たるかも知れないと
 微かな希望を持ち
 ロト6を買うのです
 弾(魂)を込めるのです

 操縦桿を握るアメリカ兵は
 チューインガムを噛んでいる
 当たるはずが無いと
 分かっているから

 600円で大きな夢を
 射止めるのだとひとり頷く
 車を走らせる

 あなたと仕事を始める
 術はこれしか無いと
 思い詰めてね
 必ず当たると信じて
 ロト売り場に行くのです
 
 笊(ザル)で水を汲む
 男がわたしです
 そばで気を揉むあなたに
 「希望が笊(ザル)をすり抜けても
  心配しないで良いよ」と
 真顔で言いながら

 ロト6のシートを
 鉛筆でマークする時に
 神様をちらっと
 思い浮かべる
 わたしがいます