昔書いていた詩(218)

 

    「4月」
 
 私は仕事を天に放り投げて
 いま少しだけ自由だ
 そのぶんお金がない
 新しい会社に勤めて
 9ヶ月で元の無職だ
 43歳の誕生月になると
 私は常に会社に別れを告げる
 小さな運命の一幕が始まる
 だから4月は私の停滞の月
 少しだけの自由をいただく月
 少しだけの詩を書ける月
 新しい創作と不安が生まれる月
 私は天に向かって堕落したと
 いつも告白する月
 時の流れに逆らいたい月
 両手の頭脳線が丸く半円を描いて
 才能が秘められていたとしても
 自分ではどうにもならない月
 私は女や酒に溺れないが
 一年と言う単位の中で
 いつも溺れている月