昔書いていた詩(155)

   台風

 
 日本海を大型の
 台風が北上しているので
 今日は一日中 強い南風が
 僕の部屋の閉じた窓の隙間から
 吹き込んでくる
 僕の心の窓も閉じている
 
 妻と娘は保健所に行っている
 娘の3歳児検診なのだ
 父の病院から電話が入った
 僕は今、失業中で
 国民健康保険証を使ってる
 
 毎日が黙って過ぎてゆく
 娘だけが確実に成長してゆく
 今の僕にはそれだけが嬉しい
 
 
    扇風機
 
 扇風機の4枚の羽根が
 乾いた僕の心に風を送ってくる
 学校では夏休みも終わり
 九月に入った今日は残暑で
 僕はFMラジオから流れる
 60年代のフォークソングを聞いている
 20代の青年時代に夢を背負って
 山歩きをしていた
 風が止まった九月の今日
 僕も家具も死んでいる