昔書いていた詩(136)

    失業
 
 失業という認識票をつけた僕
 職安に行くと中高年に近い僕は
 求職カードを探す
 紹介係は手馴れたもので
 次から次へと紹介してゆく
 僕の求職は営業だが
 すべてのカードに営業が重なっている
 今日も僕の求職カードはない
 図書館に寄り 
 街の中をくねくねと自転車で走り
 帰ってきては眠る
 詩を時々書いては又眠る
 娘も妻も父も母も 
 僕の就職を待っている
 詩人の僕は創造力が知力を
 上回り実生活に弱いのだろうか
 時はあっという間に経ち
 三ヶ月も無職だ 天職とは何か
 僕の前途は暗い 四月の空だ
 
 
    夜
 
 午後10時の鐘がなる
 時の狭間に落ちた
 夜烏の翼
 男たちは街に
 女狩りに出かける
 女達は裏ビデオ
 喘ぎを演出し
 夜は闇に支配される
 男と女が重なり合う時刻に
 詩人は深く
 現実を観察する