今書いている詩(126)

    たろうさんの娘(4)

 資生堂のBCとして入社して4度目の冬を越し、2月7日(月)に社員登用への試験があった。たろうさんの娘は2回目の受験である。娘の弱点は英語と数 学、時事問題である。大学入試でも英語が出来なくてすべて落ちた、その度に泣いた。最後の東京家政学院大学の3次でようやく受かったが、その結果がわかる 日に高校からバイトしていたマックの仲間が入学おめでとうのお祝いの当日であった。娘がそれまでの日々をどんな気持ちで過ごしていたのかと考えると切な い、まさに滑り込みセーフなのである。夜は家に帰ってくるというので、予定より早く帰ってきたので高尾駅まで迎えの行くと妻にメールを入れさせた。「電話 では明るい声だったよ」と妻が言っていたのだ、車に乗ると直ぐに「どうだった」と聞くとやはり英語と数学、時事が駄目だと言った。加藤君にはメールで伝え たらしい。「美容の問題はパーフェクトに近いよ」と言い、3日後には結果が出ると言う。加藤君に手伝ってもらい2週間勉強したと言うのだ、日頃、新聞も読 まない上にテレビのニュースも見ない、その上にパソコンも壊れたままなのだ。見るテレビは「コナン君」と「石田さんち」のオバカぶりだが店の成績は良い、 どの月も前年を割っていないで、特別セールでは見事な数字を出している。身長が167センチでモデルのような体型の上に親の目から見ても美人である。「芸 能界には興味ないのか」と聞いても知らん顔なのだ。試験の当日、番号札の上にコメントとキットカットのチョコレートがあり、キットカット(きっとかつ)に ちなんだらしい、今までの二人の男の営業はそこまではしてくれなかったが「女の子の営業は違うね」と言うから「店の売り上げで、返してあげな」と言って やった。マックのバイトで人に接するのは得意なのだ、資生堂に入れたのもマックで7年近くバイトをしていたことや容姿が優れていることに加え顔の肌が素晴 らしいのが一因だと思う、資生堂から通知が来るときに「薄いのできたら落ちた知らせだよ」といってあったので、薄い通知がきたので恐る恐る開けたら泣き出 した、合格の通知であった、うれし泣きだったのだ。前から美容に関心があったので美容関係の仕事につきたいと思っていたらしい。大学4年の秋が採用の時期 でそれまで待っていて就職活動もたいしてしていなかったが良く受かったものだ、今の子は4次ぐらいの面接をしてようやく決まるそうだ。娘の同僚の多くは辞 めたらしいが、今の氷河期の子達はさすがに辞めないようだ。しかし、試験の出来が良くても実践の販売経験のない頭でっかちの子達は店で苦労していると聞 く、ミスマッチは続いている意欲のない美容部員がいるのは大企業体質であろうか、今回も登用試験は駄目であったが、ラッキーな娘にたろうさんはエールを送 る今日この頃である。