昔書いていた詩(72) 「瞳」 「流木」

 
 野生の
 瞳を持つ
 貴女
 
 その瞳に宿る
 情熱が時を
 喪失させる
 
 男の腕から
 宇宙に向かって
 放射された
 息吹
 
 極北の
 雪原に漂う
 紅の
 貴女の薫り
 
 碧空に
 野生の
 瞳の貴女
 
 
    流木
 
 川に漂う流木
 それを拾い
 私は作る
 研ぎ澄まされた
 創造の世界
 心を抉る鑿
 槌音は空間に響き
 流木は命を吹き込まれる
 未知の谷間に
 時は埋葬される
 槌音がやみ
 流木に生命が宿る
 鏡に向かいあったように
 君がそこに
 生まれている