2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

昔書いていた詩(121)

春風 春風に乗って 僕らの青春は 青空に旅立つ 空に吸い込まれるように 希望が消えても 青春を夢見る頃の 僕らにはそれが無駄になると 知っていても 挑戦してゆく勇気がある 価値のないものに 価値を見出す心が 僕らを励ます 遠い世界の果てに 僕らの精神の…

今書いている詩(121)

たろうさんのミラー 街角に設けてあるミラーを たろうさんは見てまた左右を 確認して車を発進させます 車を運転するあなたはどうしてますか たろうさんはミラー即ち鏡が 苦手なのです ジッと視るがのが出来ないのです 吸い込まれそうで怖いのです 鏡は信仰の…

昔書いていた詩(120)

夢精 夢の中で僕は 女の性器に触れる ぬめぬめと光って 僕は溺れて 快楽の奈落に落ちる 顔は判然としないが 着物を着ている 二の足が白い なほも片手で優しく 性器を撫でる 女は呻き 僕は寸前に目覚める 夢とはこんなものだ 自由 僕らは自由な国にいながら …

今書いている詩(120)

たろうさんの羅針盤 人生の航海にも羅針盤が 必要ですね たろうさんの航海にも 愛の羅針盤がありますよ 奥さんの洋子さんです たろうさんは航海(後悔)ばかりしているので 名船長(迷船長)が持つ特製の羅針盤が 欲しいのです でもその羅針盤は世界に一つし…

昔書いていた詩(119)

時代 僕らの時代には 敵も味方もない 職場と言う戦場があるだけ そのビルの北側では 季節外れの残雪に 風が匂っている 時計台が二重写しの 時を告げると僕らが 食事に出掛ける頃 賽ノ河原では 櫂のない石船が 立ち続けている 翔ぶことに可能性を求めても 墜…

今書いている詩(119)

たろうさんの明日(2) 人の歩んできた現在までは 記録されていればわかるが 未来は容易に知りえない 占いなどは知ったところで 当てにはならないのに 人は夢中になる 明日の未来が知りたいのです 明日は確実に来る 時は止められないから あなたがどのよう…

昔書いていた詩(118)

月曜日の女 泣いて流れて恋をする 私は悲しい女です 街の灯りの揺れる日に ひとり佇む街角の ピエロの化粧をした女 何が悲しく泣くのやら それさえわからぬ一人旅 グラスの酒も身に滲みて 落ちる涙も貰い花 私は悲しい女です 指を数えて待ったとて どうせ帰…

今書いている詩(118)

たろうさんの二つの袋 たろうさんはいつも二つの袋を 持っています 洋裁を教えたりお客さんの仕立物を 若いときからやっていた洋子さんが キルトの余り布で作ってくれた袋です 小さい袋にはモバイルパソコンと 電源コード・マウス・下敷き ノートが2冊入っ…

昔書いていた詩(116)

弓 君を見ているときの僕は 夕陽に向かって 弓を引く男になる 僕は力一杯 ジャバラ写真機のような 筋肉を引伸ばし 緊張する弓と弦の弾力で 僕に懸る総ての重力を解放し 夕陽に向かって 一直線に飛行する矢になる 僕はいつまでも夕陽に向かって 飛び続ける イ…

今書いている詩(116)

たろうさんの夕陽 陵北大橋を妻のパート先へ車で向かう 中程を男が夕陽を横に浴びながら走ってゆく 橋を渡り終えると交差点の左手に黄色いビルがある 看板もなくオートバイを売っている風でもなく 解体ばかりしている怪しげな店である 交差点の向こうはレモ…

昔書いていた詩(115)

空白 空から黒鳥が落下する 僕の物差しに空白が生まれる 柄杓で汲み取られた 時間の流れ 首から縄で吊り下がっている 僕の唇から不自然な言葉の誕生 躊躇いと悲しみの交差点で 君と語り合おうか 喪失したデパートの階段の 途中に売店があるから もう何にもな…

今書いている詩(115)

たろうさんの娘(3) 電話では腕を捻挫したと聞いていましたが 元気な姿を見るまでは大丈夫かなと 心配症のたろうさんでした 金曜日の昼間に来るとは聞いていましたが 昨日は仕事で遅くなる日でした 早く帰りたい気持ちばかりで うわの空の運転でした 危ない…

昔書いていた詩(114)

馬 或日 或朝 ファッショナブルな 夜明けに 無垢な子供の叫びが 膨張する偶像を狙い ホメロスの矢となって 天上の神々に向かって 放たれる 青空 独房の小窓から 絵の展覧会に 盗用された 青空が展開される ウインドケースの中の 擦り切れた レコード盤の記憶…

今書いている詩(114)

たろうさんの歌舞伎町 今日は歌舞伎町の蝦夷御殿本館で会食です たろうさんは職安通りで待機ですよ 歌舞伎町は歓楽街で危ない所の イメージでしたが最近は見た目には 治安もよくなってきているように思います でも車で中に入ってゆくときは緊張します 職安通…

今書いている詩(113)

六月 六月の空が いつまでも 沈黙しているので 峠からの道を独りで てくてく降りてきたのです 北の斜面に直立した 白樺の樹に 白い悲しみが貼り付き 風にさらされていました 背負子のベルトで 圧迫された肩を 持ちあげるように 両手を組み直しました 僕の悲…

今書いている詩(113)

たろうさんと女性たち 上石神井駅から高井戸の 東京トヨタにクラウンハイブリッドの エンジンの本体キーとサブキーの バッテリーを交換に廻りました エンジンを切ったときに「販売店に 行ってください」と表示が出たからです 待っている間に女の子に コーヒ…

昔書いていた詩(112)

漂流物 浜辺は過ぎた時代の 漂流物で満ちている 曲がってねじれたアルミサッシ 熱線の切れた電球 空を見ているビール瓶の割目 裂けたポリエチレンのバケツ プラスチック製の洗剤容器 ささらにほつれた畳の切れはしが ソフトボールのベースだ 多摩川 硝酸液に…

今書いている詩(112)

たろうさんの蓬莱橋 汐留の日テレから銀座へ 帰るときにたろうさんは カーナビに銀座の営業部を 入れておいたのに 道に迷ってしまいました 蓬莱橋は汐留川に 架かっていた橋です なぜグルグルと迷って しまったのでしょうね 不思議ですね 蓬莱とは古代の中国…

昔書いていた詩(111)

女と風 不連続に風が吹き 砂丘に風紋を描く 砂の中に埋まり 白く天を向いて死んでいる 桜貝の青春と 永遠に合わない 貝合わせをする 美しい女が 銅版画でエッチングされた 浜辺で馬跳びをやっている 若者に出合う 風が吹く トタン板が 風に答える 男と老人 …

今書いている詩(111)

たろうさんの大船(大乗)・小船(小乗) 川の向こう岸に渡るのに 大勢乗れる船ですか 一人乗りの船でゆきますか あなたはどちらですか 大勢で往けばそれは楽しいですね 一人で行けば静かで景色も良く見えます 川の向こう岸とは例え話です 彼岸の世界です 彼岸の…

昔書いていた詩(110)

キャンバス 布キャンバスの上で 僕らの未来は 黒く塗りつぶされて 明日が見えない 片目の文明がタイピストの指先で産卵し 吸取り紙のインクのしみのように浸透しても いつも不毛の大地があるだけ 世界の果てにいる僕は 動かない振り子を抱えている男 仕事に…

今書いている詩(110)

たろうさんの仮眠 わたしもあなたも仮眠して夜を渉る あなたは今も孤独で膝を抱え 泣きながら仮眠を続けているのか 私は目を擦りながら 朝食を終え家を出る 2つの袋を抱えて自分の車で 富士森公園の森が大きく 被さった坂の家に着き 車を乗り換えて都内に向…

昔書いていた詩(109)

波 さっと 一直線に 描いた 筆の先から 白い 牙の波が 幾っも 押し寄せてくる 海辺に立てば 波の ざわめきが 聞こえる 遠い夏に 砂浜で 君と キスを交わしたね 夢のような 記憶を辿れば 明日からも 生きてゆける 貴女と私です 風景 朽ち果て歪んだ 木造船の…

今書いている詩 (109)

たろうさんの極楽浄土 たろうさん極楽浄土はあの世ではなく あなたの目の前にありますよ 仏法の辿り着いた最終の地 この日本にあるのです 今のあなた達の繁栄こそが極楽浄土です 滅法による子どもたちの虐待 老人の孤独死 理由なき殺人など 地獄のあり様です…

昔書いていた詩(108)

マネキン人形 頭上に差し上げた僕の腕は マネキン人形のように 取り外されて支えを失う その高さと 重さゆえに 愛は僕の腕からも落下する 貴女の言葉は乾いて いびつになって 僕の耳に貼り付き 愛はヘラクレスの左腕で 砲丸のように 四月の碧空に 投げあげら…

今書いている詩(108)

たろうさんの土曜日 朝7時40分に洋子さんをパート先の エコスたいらや西寺方店に 送って帰ってきてたろうさんは 2日間の仕事の疲れから寝ていました 昼前に起きて洋子さんの 「今仕事が終わりました」の連絡を待ちます 今日は娘さんが帰ってくる嬉しい日…

昔書いていた詩(107) 「貴女」 「歯車」

貴女 乱舞する闇が呪術する 悪魔のような貴方の瞳で 見つめられると 風は乾いて吹きつけ 愛は黒く豹変する 闇は四辺に敬礼し 私は足元に咲いている シクラメンの花を見つめる コンクリートのように 愛は固まり ペン皿の中に横たわる 銀製のクシの光沢のよう…

今書いている詩(107) 「たろうさんの明日」

たろうさんの明日 たろうさんの明日は 真っ暗な天井を見つめて考えます 昼間は天井板の模様を眺めていました 眠って起きれば何ともない朝が来て 仕事に出かけてゆく生活が戻ってきました 何も変わらない生活です 希望も見えてはいません (せめてロト6か ミ…

昔書いていた詩(106) 「ピンポールカメラ)」 「樹皮」

ピンポールカメラ 山で何をなくして 何を拾いたいのか 沸き上がるガスの中で 腐食されたピンポールカメラの針穴から 無制限に引き延ばされた二重写しの峰々 山肌と貴女の 心の襞に立てば 何時か何処かで 記憶の冬の谷に 埋没した合言葉が 蘇生する ああ 山で…

今書いている詩(106) 「たろうさんの峠」

たろうさんの峠 たろうさんは山の峠に 向かって登って行きます まだ途中です 峠を越えたら 希望に出会えるだろうと 思いながら背中の 荷物の重さに耐えています 何処まで登っただろうかと 振り返っても人生の原生林に 囲まれて視界が悪いうえに 不安という霧…