今書いている詩(484)

   たろうさんの少女(慟哭)
 
 少女よ
 もう泣くのはおやめ
 悲しみから
 手を離して
 右手のトランペットを
 空に向かって
 奏でておくれ
 
 あなたの吹く音色は
 失われた多くの魂に
 届くでしょう
 鎮魂の奏となるでしょう
 天と地に安らぎを
 もたらすでしょう
 
 いつかあなたが
 成人して
 この大災害を
 子どもや孫に
 語るときのために
 この時代をこころに
 刻み込むのです
 
 あなたは三陸の海の
 語り部となって
 次の時代に
 繋ぐのです
 
 優しい波が
 浜辺に繰り返して
 悲しみの歴史を
 消し去るでしょう
 その時まで
 あなたは
 「美しいトランペットの
  奏を響かせましょうね」
 
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