今書いている詩(331)

   たろうさんの希望のドングリ

 隣の家族が来年には
 帰ってくる
 駐車場の坂道は 
 車の出入りがある
 いつもは坂の上に
 止まっていた
 車が下に止まっている

 奥さんが挨拶に来たときに
 洋子さんが
 「車を止める位置が違っているのですが
  息子さんが免許を取られたのですか」

 「坂の上にドングリが落ちているので」

 ドングリかぁ~
 6年ほど前に
 この坂の平たいところに
 2歳前後の女の子と
 お父さんが来ていた

 かわいい女の子は
 しゃがみ込んで
 小さな手で嬉しそうに
 ドングリを指さして
 振り向く
 笑っている
 そっと立つお父さん
 優しいまなざしで
 見ている

 わたしは自分の
 娘の思い出を重ね合わす
 ポケットに希望のドングリを
 いっぱい詰めていた娘

 よその子の成長は早い
 今は小学2年生になっている
 
 夜中にピシッピシッと
 ドングリが弾ける音
 季節の移ろいです
 (なぜかお父さんでなく
  若いお祖父さんらしい)