2014-01-01から1ヶ月間の記事一覧

昔書いていた詩(205)

図書館 職安を出て 病院坂を自転車で下る 踏切を渡り 交番の前を直角に 曲がったところで 背中に踏み切りの警報音が鳴った 駅前にある店のシャッターは いつも閉じたままで タクシーの運転手が 暇そうに車を掃除している 交差点の信号が 「とうりゃんせ」を…

今書いている詩(205)

たろうさんの地軸 夜 家の階段を ズシンズシンと降りる 安普請の家が揺れる 揺れは部屋で 共振し 増幅し 地表に伝わり 地球もまた揺れてるに 違いないのだ あの日の揺れも 世界中の人の心を 今でも揺らしているに 違いないのだ わたしは心を電波に乗せて あ…

昔書いていた詩(204)

待つ 連絡を待つ なかなか来ない いつまで待てばよいのだろう 一日が長い 物差しで計ってみる 僕には天才的な 待つ力があるが 天啓があってから 5年待った 僕はどこかで 心を無くしてしまったのか 何時までも待てない 僕がいますよ 僕は働き始めるからね 僕…

今書いている詩(204)

たろうさんの地球(2) そこに山があるのは そこに川があるのは そこにあなたがおられるのは 必然ですか わたしとあなたが 出会えたのは 偶然ですか わたしとあなたの娘が 生まれたのは 当然ですか 今日も雲が流れ 雨になるでしょう この天候は 自然ですか わ…

昔書いていた詩(203)

登る 僕は三頭山に登る 沢沿いに続く 林道が倒木で 塞がれている 二人の女の子を 連れている ようやく山頂に 辿りつく 雪がある 裸足で歩いている 冷たい夢に 気づいて 布団を引き上げる 僕がいる 花火 峯山で花火を見ている 遠くに思えた花火は 近くで開く …

今書いている詩(203)

たろうさんの大根の花 梅も 桜も 桃も 椿も 散ってしまった 沈丁花はとうに跡形もない すべては青葉の季節に 向かっている 萌えていた山の木々も 濃い緑になってゆく 剥き出しに成っていた 家の土台のコンクリートも 夏ツタが覆い始めた 我が家の菜園も 耕す…

昔書いていた詩(202)

時間 失業者の名札をぶら下げた 僕は時をもてあまし 地軸の両端を挟み込むように 時間を絞ってみる 僕の頭の中には 時が数本の銅線の束で 張りめぐらされている 誰かが時計のネジを巻いても 映画のワンシーンのように ああ 時が潮解する中に 僕は立ち止って…

今書いている詩(202)

たろうさんの加藤君 身も心も パァツン パァツンの 加藤君は今日も元気で 泊まりのお仕事にお出かけです 嬉しいですね 今晩は娘さんがお帰りですよ 優しい加藤君は 家事を手伝ってくれるそうです たろうさんとは大違いです 娘さん褒め上手のがまぐち固い 一…

昔書いていた詩(201)

眠る 何の不安もなく 眠る娘よ 君の寝顔には 光に値する未来がある 僕の腕は これからどれ程 君を支えてゆけるだろう チョウチョウ 「お父さん お父さん」 娘が外で呼んでいる ベランダに出てみると 「チョウチョウが死んでいるよ」 3歳の娘が言う 側溝にア…

今書いている詩(201)

たろうさんのカガミッチョ(蜥蜴) 暖かい春の陽 燦々と注いだ 小さなカガミッチョ 縁の下から這い出して クローバーの株に 虫を求めて潜り込む たろうさん頻りに 四つ葉のクローバー を探し 迷いの世界で 藻掻いてる 強い春風吹いて 大根の花揺れた モンシロ…

昔書いていた詩(200)

姿見 窓の外は5月の新緑に映えて 青空が公園の欅の向こうまで続いている 爽やかな一日の始まりだ さきほどから団地の木々の梢で 聞き慣れぬ小鳥のさえずりがする 窓を開けて新しい風を入れる 僕は新しくないが気持ちだけは 新しい風が吹いている 北の部屋は…

今書いている詩(200)

たろうさんの救い 家の中で迷っていたミツバチを 3匹逃がしました ブンブンうるさいんですよ いま失業者のたろうさんには 何も出来ません 少しの希望も夢も無いと 嘆いている あなたがいませんか 明日が其処まできているのに 夜明けが怖いと思い 悩んでいま…

昔書いていた詩(199)

思想の明日 僕は今何処で生きているのだろう 僕は今立ち向かう敵がいなくなって久しい 社会のどの辺りにいて 世界の何処にいるのだろう 僕はかって共産主義の根を齧ったが 今は唯支持しているに過ぎない すべての人々が中産階級だと言う労働者に 組合はもう…

今書いている詩(199)

たろうさんの鶯(2) 朝は冷え込みました おかげで血圧が高いです 8時に起きて 遅いご飯を一人で食べます 山の神さんの洋子さんは もうパートに出かけています 元気が嬉しいです スズメさんに 追加の餌をあげます 庭に出るとやはり 空気がひんやりと 冷たい…

昔書いていた詩(198)

初恋 16歳になった美樹と バイクで多摩川に行った カーブを曲がったとき 美樹と僕は地上に投げ出され 二人は痛さよりも咄嗟の 出来事に戸惑った ああ あの時に僕は 美樹を抱きしめて 唇を奪って仕舞えば良かったのに 僕は美樹に詫びるばけで 勢一杯だった …

今書いている詩(198)

たろうさんの大根 モンシロチョウさん モンキチョウさん 桃の花の上を 菜の花の上を 自由に 飛び回りなさいね もうすぐ花たちも 終わりです いまは 取り残された 菜園の大根の花が 咲いてますよ 大根さんは 素がいって もう食べられませんね おろし金で たろ…

昔書いていた詩(197)

タラの芽 カールした沢の上部に タラの芽があった 5月の連休に団地の仲間と 取りに行った 棘で身を守っていたが 僕らの前にそれは無力だった ひっそりと隠れて暮らしていたのに 僕らの食欲が上回っていた 僕らが団地でビールを片手に 乾杯をしていた頃 尾根…

今書いている詩(197)

たろうさんの片道切符 あなたは何処の駅で 片道切符を買いますか 過去ですか 現在ですか 未来ですか あなたの望まれる 所に行けますよ この列車は タイムマシーンですからね その駅には何があなたを 待っているのでしょうね 悲しい過去 何にも無い現在 嬉し…

昔書いていた詩(196)

三和子 5月の雨霧の日になると 僕は20年前の 君を思い出します ボーイシュで胸の小さくて テニスとバドミントンの得意だった君 今では君の胸は子供たちに奪われて 垂れ下がり僕の妻のようになっているんだろうね 鎌倉の寺で出合って浜辺で初めて口づけを…

今書いている詩(196)

たろうさんの吸い取り紙 わたしとあなたの 悲しみの涙と 喜びの涙を 青い吸い取り紙に ピンクの吸い取り紙に 一滴ずつ垂らしましょう 悲しみも 喜びも 忘れ去る時代は過ぎて 吸い取り紙を 売っていた 過去の文房具店は シャッターが降りたままです あなたは…

昔書いていた詩(195)

子離れ 柔らかい日射しの5月 団地の公園の皐月が 紫の花をたくさんつけた 僕は窓越しにそれを見ている 娘が保育園に行ってしまっているので 僕と妻は二人で帰りを待っている 僕らは子離れできない夫婦 僕の机の上に昔山で使った ラジュースが置いてある 今…

今書いている詩(195) 

たろうさんの娘(7) 娘が泊まって家から 仕事に行きました 西八王子駅に送ります 昨日の夜は楽しくて 話が弾みました その分少し寂しいです この屋根の下に 娘がいるだけで 満足しなさいね たろうさんは欲張りですね 市議選の期日前投票は 忘れていたそうで…

昔書いていた詩(194)

連休 5月の連休が終わっても 僕は失業中だ 娘は「お父さんはみんなが仕事にゆくのに どうしてゆかないの」と言う これも辛い言葉だが 娘が「アイスクリームの機械を 買ってくれ」と言ったのに 僕のサイフには千円と少しだけで 買ってやれない 僕は自分の不…

今書いている詩(194)

たろうさんの聖母(2) 今日は嬉しい初の認定日です もう8年以上も失業保険を 貰って無いなぁ~ たろうさん自慢になりませんよ 10時10分~10時40分の間に ⑮の窓口に来て下さいでした 家を9時25分に出ます そんなに急がなくても良いのですが たろうさんは早く…

昔書いていた詩(193)

風景 景色の中に言葉を探す 乳白色の雲の下に 電柱が立っている 電線がたわんで連なっている 隣の小学校から児童の声がする 資材置き場の原っぱには 今日は何も置いてない 4畳半から見える風景です 僕は何もすることがないので 暇を書いてます 机の蛍光灯の…

今書いている詩(193)

たろうさんのもものき たろうさん あなたが わ・た・し・を そんなにみつめるから でじかめで うつしすぎるから わ・た・し・は はづかしすぎて こんなに はなびらを いっそう ももいろに そめてしまい ましたの わ・た・し たろうさんに こいしたの かしら …

昔書いていた詩(192)

夢想 夢は僕のイマージュの世界 上手に夢見て すぐに忘れてしまう 両手の平から こぼれる氷のように 冷たさはないが 儚さが残る 僕はいつか眠りにつき 娘は僕よりも早起き 僕は最後の夢を布団の中で 体を縮ませて見る 右手に夢想の 宇宙を掴んでいる 夢(32…

今書いている詩(192)

たろううさんの聖母(マドンナ) ほそい長テーブルを挟んで 向かい合う3人の女性と 40名ほどの男と女の集団 6つの眼と80の眼の出会い 何のことはない 雇用保険受給者の説明会なのだ 雇用者と被雇用者のほどの 違いではないが 顔はまるで違っている 失業…