2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

昔書いていた詩(61) 「レール」 「高原」 「朝」

レール 闇が滲んで 燃えてゆく 黒く 響いて 列車が 走る レールの上に 小石が置かれている 黒板で消されたのは 灰色の 言葉だけであろうか 夜の 囁きを 背中で聞く 昨日も 今日も 聞く 首が 落ちたら 口は どうすればいい 「響くのは 闇ばかりですね」と 呟…

今書いている詩(61) 「たろうくんのお休み(2)」

たろうくんのお休み(2) 濡れる 濡れる 初冬の雨に 雑木林も 菜園も 屋根も みんな濡れる たろうくんの心も濡れる けぶる けぶる 雑木林も 遠くの山も みんなけぶる 残った木の葉が 雨にぬれて 鮮やかに映える たろうくんも生き返る 陽が当たる 当たる 乾く …

昔書いていた詩(60) 「八高線」 「無力」 「動労」

八高線 四両編成の電車が走る レールが ひっつく 頑丈な 枕木は 動きもしない 柿色の 車体と 車輪 丸い吊革と 網棚 朝と夜の足が 同居している 座席に 鋭い目つきの女がいる 北に向かって走る電車は 汽車を 思い出している 無力 お前は 予告なしに やってき…

今書いている詩 60) 「たろうくんのお休み」

ハエさん窓にしがみついて 外に出ようとして チッリチッリしても 駄目ですよ 今日のたろうくんは 風邪で会社もお休みです あなたを外に逃がす 気力がありません 家の中に入ってくる 馬追いも 蜘蛛も 飛びまわっているゴキブリも 殺さない主義ですが 蚊は殺し…

昔書いていた詩(59) 「カモメ」 「喪失」 「幸福」

カモメ 私の青春は 脳髄の中で 情熱の炎となって 燃えてしまう 逆らうものを失って 殻になってしまつた私は 南風に乗って 空へ舞い上がる 私は蒼色に染まり 何処までも 流れてゆく 空は 高く 深く 大地は薔薇色に燃えている カモメが私に微笑んでいる 私はカ…

今書いている詩(59) 「たろうくんの海ー八幡はらぼけ地蔵ー」

たろうくんの海ー八幡はらぼけ地蔵ー 六地蔵が海を 凝と見ている あなたの歩く道を見て 立っている 波も立っている浜辺は 風も激しく吹いている 遠い国からやって来た 流木よ 口をあけている 桜貝よ あなたの何を語ろうか どんな夢を話そうか 今私の居場所は…

昔書いていた詩(58) 「言葉」 「春を待つ死に神」 

言葉 愛は流れる 星のかけら 哀しく溶けて 雲になる 愛は奏でる ギターの調べ そっと溢れて 貴方のもとへ 愛はせつない 私の言葉 貴女にあげたい 私の言葉 春を待つ死神 田圃は 網の目に 割れている 陽は 地平線の 隅っこに ぷかぷか 浮かんでいる 葉っぱは …

今書いている詩(58) 「たろうくんの子どもたちー創立100周年記念ー」

たろうくんの子どもたちー創立100周年記念ー 子どもたちの歌声って 素晴らしい 子どもたちの笑いって 素晴らしい 子どもたちの夢って 素晴らしい 夢よ 希望よ あなたの住む 街へ 野原へ 山のかなたへ 雲が湧き上がる空へ いっぱい届け たろうくんは今日も…

昔書いていた詩(57) 「リズム」 「河原」 「コーヒー」

リズム 何処かで 聞いたような リズムが 私の廻りを 駆け回っている 目の後ろ 口の上 耳の横を 通った 見えない私を 涙の 塊にしてしまう 河原 河原は 私の廻りに ほんの少し 横になっている 貴女の頭は 私の腕にある 心臓が ぴくぴくしている 私が 岩になっ…

今書いている詩(57) 「たろうくんのタイムカプセルー創立100周年記念ー」

たろうくんのタイムカプセルー創立100周年記念ー 今日の佳き日に空が青い 子どもたちがドッチボールをしている 校庭を駆け廻っている みんな嬉しそうな笑顔の土曜日の登校 私は工作室の絵の具で汚れた 分厚いテーブルとセットの四角い椅子に 座って外を見…

昔書いていた詩(56) 「レンギョウ」 「住居」 「切符」

レンギョウ 垣根にレンギョウの 花が咲く 少年が通る 娘が通る 花が揺れる 私も揺れる 幾日も 幾日も 揺れる 花弁が染まる 黄色い 黄色い 花のかんむり 花のかんむり 住居 岩の上に 土が座った 土の上に 木が座った その上に 人が住んだ 若い夫婦 廻りのビル…

今書いている詩(56) 「 たろうくんの小学校ー創立100周年記念ー」

たろうくんの小学校ー創立100周年記念ー 体育館への渡り廊下を スリッパで行くと 子どもたちの歌声が聞こえてくる 一生懸命にうたっている 穏やかな昼時に響いている ピアノも唄っている 合唱コンクールの歌かな 今日の祝賀会の練習かな 紅白の幕で囲まれ…

昔書いていた詩(55) 「潮解」 「幽霊」 「歩く」

潮解 20両の貨車が 白い塊を3個 積んだ 岩塩が溶ける 緑の風と 朱色の季節が 混在し 夜中に うねうねと 栗の実が 落ちる 幽霊 白い光の時代では 棺桶に 骨ばかりが 横たわる 黒い衣で 覆われた駅に 石灰虫の化石が 敷き詰められ プラットホームに 棺桶が…

今書いている詩(55) 「たろうくんのひとりごと(3)」

たろうくんのひとりごと(3) あなた 心が暴走しすぎて 心のスピードメーターが制限速度を 越えていますよ タコメーターがレッドゾーンですよ ああ とうとう高速道路で 止まってしまいましたね 燃料計は如何ですか ガソリンは有りますか オーバーヒートですか…

昔書いて(54) 「失踪」 「煙り」

失踪 窓のない部屋に 丸い卓袱台 その上に干からびた 割り箸と どんぶり 隅の机に 英字のノートと インスタントラーメンの 袋が同居している 40ワットの電球に 小さな冷蔵庫が白く 浮かんでいる 中には 何もない バターの箱のみ 壁の埃が 久しぶりに人間を…

今書いている詩(54) 「たろうくんのひとりごと(3)」

たろうくんのひとりごと(3) あなた 心が暴走しすぎて 心のスピードメーターが制限速度を 越えていますよ タコメーターがレッドゾーンですよ ああ とうとう高速道路で 止まってしまいましたね 燃料計は如何ですか ガソリンは有りますか オーバーヒートですか…

昔書いていた詩(53) 「パンが欲しい男」 「予感」

パンが欲しい男 池があり 光が 風に踊り 枝が 風下に伸び ススキが広がり 秋の花々が咲き 大きな山がある 裾野に こんもりと 木々が並ぶ 遠く あのあたりより 押し寄せる 空の群青 (だが私はパンが欲しい 一切れ) 原始林の中で 澱みのない 苔のあたりで ひと…

今書いている詩(53) 「たろうくんのひとりごと(2)」

たろうくんのひとりごと(2) あなたは独りかい 私には妻も娘もいるよ 父と母はもういないけどね でもね あの世に行く時は 誰でも独りで行くんだよ 私も若い時は孤独性だったよ それを解決してくれたのが愛さ 愛を求めてごらん 天に向かってね 神の創造のプロ…

昔書いていた詩(52) 「顔」 「絵」

顔 校庭に建った杭打機が ひどく黒く巨大に映る 朝霧の中 空に向かって 直立している 朝の薫りはビルの谷間から 駅へ続く道に溢れている 薄く霧に覆われた 樫の樹の下を 決まった時間に 同じ方向に男は歩いてゆく これで良いとは誰も言わないが 突然、警報音…

今書いている詩(52) 「たろうくんの深沢山」

たろうくんの深沢山 あなたが其処に座しているから 私はあなたを見つめています あなたが私を守っているから わたしは此処に居られます 天正十八年六月二十三日の 悲劇を忘れたかのように 由井の山河を 村人を 眺め続けてきたあなた 三角錐の山容を天空に晒…

昔書いていた詩(51) 「機関車」 「帰り道」

機関車 黒の機関車のある 駅で働く 線路工夫よ お前のその右手のツルハシには 過去を打ち壊し 未来を掘り起こす 力と勇気がある だから 娘達よ 彼らを恋するのに 戸惑ってはいけない でもね 君達の街には まだ太陽が昇らない 犬の眼は片目だし 私の肺も半分…

今書いている詩(51) 「還暦男の告白(3)」

還暦男の告白(3) 高田瑛子さんあなたとの思い出は 本当に切なくて 今はもう伝えられませんが タイムマシンで時をパスして あなたのもとへ帰ってはいけませんか あなたがいなくなってから 何処かでまた会えないだろうかと 街角の雑踏の中を 電車の中を 捜し…

昔書いていた詩(50) 「横田基地」 「因習」

横田基地 暗闇の中には 青色の灯火が 等間隔に並んでいる 有刺鉄線の彼方に その国の土地でない土地がある 建物の灯りは不透明な 窓ガラスに遮られて 光の束は半減する 兵士の姿は見えないが 夜空を探照灯が照らし 滑走路を無人のバスが走る 真空地帯が広が…

今書いている詩(50) 「たろうくんの椚(くぬぎ)」

たろうくんの椚(くぬぎ) 私の家の東側の山の斜面に 雑木林が広がっている 夏は太陽を遮り 冬には季節風を防いでいる 今は初冬 緑の衣を黄金色に染め ベールを脱ぎ骨身を晒そうとしている 強風に体をうねらせている小枝は 静脈のように青空を掴んでいる 地上…

昔書いていた詩(49) 「悲しみ」 「道」

悲しみ 旅路で果てた 男の骨が帰ってくる コンクリートジャングルで 生まれた子供たちは 広場で遊んでいる 空に飛び出すように ブランコを振る 男の故郷は此処なのだが すべてを失った男には 行き場がない 陶製の骨壷の底に 白く固まっているだけだ 道 何処…

今書いている詩(49) 「たろうくんのひとりごと」

たろうくんのひとりごと このイスも机もロッキングチェアーも わたしがあなたのために用意しましたよ どうぞ自由にお使いくださいね 学び疲れたあなた 考えに行き詰まったあなた 体が辛いあなた 就職が決まらないあなた 行く当てもなく路上を彷徨うあなた い…

昔書いていた詩(48) 「雪崩」 「秘密」

雪崩 夏道の消えて 山靴の音がする稜線 青氷の斜面を 風たちと対話しながら 一緒に登ってゆく 空の蒼に 雪と氷の世界で 動かない岩棚 雪臂に亀裂が走り 烈しい雪崩が襲う 山は変貌して 私の存在は 無視される 秘密 厳冬の山の尾根道には 蟻も歩かない 襟を立…

今書いている詩(48) 「シャボン玉」

シャボン玉 公園で子どもさんが シャボン玉を追いかけている そうだ 娘も部屋の中で 嬉しそうに両手を挙げて 夢中で追いかけ廻っていたっけ 20年位い経つかなぁ~ シャボン玉に娘の手が触れると 弾けて消えた たろうくんは 吹き続ける シャボン玉は 部屋の…

昔書いていた詩(47) 「モグラ」 「リレー」 「掘る」

モグラ 乾いた土の上を モグラが走ります 息絶えて垂直に 死にます 魂だけが 風に乗って 飛んでゆきます 今度は 金色のモグラが 死にます 風の中では 土に帰れません リレー 俺は笑いの中に 住んでみたが 悲しいのだ 頭の中で 最初のリレーが動く 最期のリレ…

今書いている詩(47) 「飼育」

「飼育」 餌台でスズメが餌を 啄ばんでいる お仲間は金木犀の茂みの中で 楽しそうにお喋りしている チュンチュン何を話しているのかな 砂場にはプラスチックの洗面器に 水を張ってあります 菜園は耕してありますよ 土だらけです おいおい たろうくんそんなに…