今書いている詩(479)

  「たろうさんのプラネタリウム

 

 八王子の大横町に

 大善寺があった頃に
 八王子城の戦死者を
 慰めるための
 お十夜があった

 そこへ サーカスや
 見世物小屋がきた
 子どもの頃に
 お金がなくて
 だだ眺めていた

 その大善寺跡に
 出来た福祉会館で
 洋子さんと式を挙げた
 それから20年後に
 小学生の娘と
 浅川の土手を歩いて
 新しく出来た
 プラネタリウム
 何度も見に行った

 全天周映画と
 満点の星で目が廻り
 いつも首が廻った
 僅かなお金で
 帰りに手焼きせんべいを
 ボリボリ囓りながら帰った

 幸福な時間が確かにあった
 あの頃も無職だったろうか
 覚えていない
 今違うのは
 娘がもうすぐ
 結婚式を挙げることだ
 「幻ではありませんね
  神さま 今日の幸せが」